白の恐怖

2020年7月30日に妻が入院した。
久し振りに過ごすひとりの夜は痛く静かで孤独に感じた。

入院翌日(2020年7月31日)

主治医と挨拶。
肺に異常が認められたため、入院先は呼吸器外科だった。
ガランとした病室で昨日の検査結果の現状報告を受ける。
COVID-19の影響で、狭い診察室ではなく空いている大部屋の病室を利用しているのだという。
主治医は妻と同じくらいの歳の女性だった。
言葉を選びながら事実を並べてくれる、そんな話し方をする人で好感を持った。
チームで対応にあたるということで、担当をしてくれる先生方とも顔を合わせることができた。
結局一度も顔を合わせることがなかった産婦人科医には正直不信感を抱いていたため、誠意を感じる対応をしてもらえてありがたかった。

白い斑点のようなものが肺中を埋め尽くしているレントゲン画像がモニターに映されてた。
救急退院の方に聞いた、肺が酷く汚れているという言葉は決して大袈裟なものではなかった。

正常な肺の画像と比較されたら 一目瞭然。
黒く写った部分の方が狭く、全体が白く濁っていた。

その時点では検査結果が出せていないとのことだったが、COVID-19に感染したわけではなくまた別の病気という見立てだと聞いた。
現時点では結核の可能性も高く、いずれにしても顔つきの良い細胞ではないという話だった。
産婦人科に通っていた背景も伝えられていたため、そちらとの関連性も含めて検査を進めてもらえることになった。

主治医からはしばらくは毎日病院に来て欲しいと言われた。
入院当日に上司の承認を受けていたため仕事は途中で切り上げて夕方頃に病院へ通える体制は出来ていたので快諾した。

病院付近の公園
体温チェックに引っかからないよう、自転車移動で火照った身体を涼ませるのにちょうどよかった

2020年8月1~3日

病院からの案内を受けて、やるべきことをただこなした。
・区役所で限度額適用認定証を発行
・着替えのパジャマ類を届ける
・先生から現況の共有を受ける
・親族や職場に現況の共有

最初はICUに入ったこともあり妻との面会はできなかった。
ナースステーションに荷物を届けて使用済みの着替えを代わりに受け取るだけ。
LINEのトークのみでしか繋がることができなかった。

結核か。現代は治る病気とも言われているけど、身近で罹ったことのある人もいないから不安は増した。何よりレントゲン写真の白さに愕然とした。

主治医の話によれば、結核患者は増加の一途を辿って言うという。
コロナ禍で病床が逼迫していることもあり、悪化するケースが多いのだと聞いた。
ニュースサイトを追うと確かにそういった記事が多く、気休めに言われているわけではないことも分かった。

Yahoo!ニュース
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何にせよ検査結果が出ないことには手が打てないので悶々とした日々を過ごすほかなかった。
仕事は一日6時間ほどではあったが、手につかないわけでもなくやるべきことがあるありがたさを感じながら取り組めていた。

こうして、忘れることの出来ないあの8月に入っていった。

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