
妻の闘病記録を残していくにあたり、どこから書き始めるべきか悩んだ。
直近のことからなのか、それとも病気の予兆が出てきた時か。はたまた馴れ初めからか。
割と本気で馴れ初めから書いてやろうと考えていたのだけど、本来の目的である闘病記を時の経つ前に書けなくなることに気付いて思い止まった。それが昨日。
そんなわけで、病気の予兆が出始めた2020年3月から書いていこうと思う。
2020年3月。そう、今までの日常がCOVID-19に奪われ始めた時期。
振り返ると予兆はあの頃から出ていた。
2020年3月上旬
新婚旅行を翌月に控えた我々夫婦は浮足だった日々を送っていた。
2月はただただ寒いし、3月は学生の卒業旅行でハイシーズン。
4月は新生活の時期だし空いてるか、ということで4月に決まった。
私はITベンチャー勤務で新卒入社予定なし。
妻も同じくITエンジニアで、独立しフリーランスとして勤務していたので新生活とは隔絶された環境。
旅行価格は抑え目で観光客も目減りする時期。むしろ都合が良かった。
旅行先はフランス・パリ、スペイン・マドリード。
地名を見るだけで胸が躍る。
私にとっては初のヨーロッパ。
妻はスペインにギターを弾きに行ったりしていたので割と親しみのある土地だった。
妻が旅行業をやっている知人を経由して個人旅行を申し込んでくれたおかげで、2月中にトラベルプランはまとまっていた。
しかし国内にもCOVID-19の波が押し寄せはじめ、不安の色も濃くなってきた。
2020年3月中旬
珍しく妻が月経の重さを訴えた。
普段はそこまで重くないけど、たまにズドーンとくる時があって今回もそれが来たんじゃないかと話していた。
代わることは出来ないし痛みの具合も分からないから、とりあえず家事は任せてとかそういった暫定対処しかできなかった。
月経の終わりと共に痛みが引いたので一安心する。
2020年3月下旬
COVID-19の感染が拡大し、楽しみにしていた新婚旅行に暗雲が立ち込めてきた。
日本からの出国はかろうじてできる状態だったが、旅行先のスペイン・フランスで感染拡大が酷くなっていた。
行けても予定通り帰って来られる保障がない。
行けても目当ての店や観光地が空いていない。
こんな状況で新婚旅行は行きたくないねと考えの方向が一致していたので、新婚旅行は延期することに決めた。
しかし面倒なことに、国側での公式な渡航制限が出ないとこのパンデミックの始まりにおける旅行のキャンセルも自己都合扱いになりキャンセル料がかかるということで、毎日外務省のホームページを見ていた。
本当に無意味なチキンレースだねと妻と嘆いていたのをよく覚えている。
外務省の正式発表を前に新婚旅行はキャンセルすることになった。
どうぶつの森で島の開拓に勤しむ妻
2020年4月~6月
振り返ってみたら、病気の予兆は出ていたけどまだ病院には通っていなかった。
今回は2020年3月までにしておこうと思ったけどもう少し書き進める。
緊急事態宣言が出たため、妻も在宅勤務に切り替わった。
毎日ほとんどの時間を一緒に過ごしていた。
その後、お腹が痛くなる頻度が高くなっていき、原因は月経ではないのではないかということで最寄りの産婦人科に通い始めた。
COVID-19の感染リスクもあるため、病院に通うこと自体を最初は渋っていたが私も不安だったので通ってもらうことになった。
レントゲンを撮ってもらったところ、子宮部分に薄い影のようなものが写っており、子宮筋腫の疑いがあるということで定期的に産婦人科へ通うことになった。
しかし筋腫自体が悪性のものとは判断でき兼ねるということで、診察は次第に停滞していた。
目に見える臓器ではないし、好転しない状況に痺れを切らし、私も同席させてもらえないかと電話したこともあった。ここでもCOVID-19の影響があり、一人で診察に通える人については同伴NGと門前払いされてしまった。
何も出来ず地団駄を踏み散らかしていたけど、心理的なサポートは最低限したかったので産婦人科の前までは一緒に行ったりした。門前払いされるなら門前までは行ってやろう精神。
フエキ糊のハンドクリームだよと得意げな妻
この時期に感じていたこと
妻の身体に起きていることへの不安、COVID-19の蔓延による不安。
内的起因と外的起因。
いつ解消されのるかという先の見えない不安。
お互いにストレスは溜まっていたのだろうけど、毎日一緒に居ても喧嘩をすることはなかったな。
私は転職後在宅メインで働いていたこともあり、COVID-19による直接的な生活変化は抑えられていた。
妻と生活する時間が増えて嬉しかったという感想すら抱いていた。
外食がしづらいからと週替わりで自炊当番を決めて料理に勤しんでいた。
スーパーで普段は買わないけど気になっていた調味料をあーだこーだいいながら買ったり、サボる時用にちょっと良い袋麺を買ったり。
非常事態という非日常をなるべくエンタメに変えるべく自然と楽しんでいた感じがある。
どうぶつの森は私から一緒にやろうと言って一緒に買ったのに、私は2ヶ月保たずに飽きてしまい途中からは妻がソロでやっていた。申し訳ないと思っている。