
2022年11月6日(日)。
誕生日翌日。29歳になりたての状態。
ちばアクアラインマラソン2022に出走した。
初めての大規模フルマラソン大会。
この日のことは文字にして残しておきたいので細々と書いていく。
当レースの目標
目標は以下の3つを満たすこと。
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3時間10分切り。
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今シーズン終盤のサブ3達成に向けての重要なマイルストーン。
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エントリー当初は3時間30分切り(所謂サブ3.5)を掲げていたが、思ったより走力をつけられたので目標値を上方修正した。
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完走。
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一度も歩かずにゴールしたい。
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ネガティブスプリット。
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後半タレずに徐々にペースを上げて気持ちよく終わりたい。
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攻め過ぎず守り過ぎず、常に状況にあったペースで推移する。
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当レースの結果
結果も先に書いておく。
グロスタイム: 3時間06分36秒
ネットタイム: 3時間04分00秒


レース前
レース前のあれこれをジャンル別に書く。
トレーニングプラン
レース2週間前週: 87.8km
レース1週間前週: 53.5km
レース週: 21.4km
2週間前から距離を半分に、というのを目標にしてあとは自分のトレーニングプランと噛み合いのいい形にして落とし込んだ。
このあたりは初めて意識して行うので一般的な常套手段を自分なりに実践した。
ペースはキープ、むしろ少し速めにして負荷を調整した。
負荷を上げることで練習効率のアップはもちろんのこと、「レース前に走れていない」という心理的な不安を取り除くことができた。
ウォーターローディング
レースの3週間ほど前から水を毎日3Lほど飲む生活を始めた。
レース中の脱水症状を防ぐ目的で実行。
Britaの浄水ポットを3回分飲んだ。
普段コーヒーはよく飲むが利尿作用があるので水分補給観点でいうとマイナスになる。
そのため通常であれば2Lで十分だろうが、日々のランニングによる消耗とコーヒーによる排出を加味して+1Lの設定とした。
この辺りの適正は固定値ではなく体質や生活習慣に依ってくるものだろう。
前乗り
29歳の誕生日当日。
千葉県市原市の宿に前乗りして前泊した。
木更津駅の付近は、マラソン当選の報せを受けたときには既に価格が高騰しており、イベント価格になっていたので30分ほど離れた手前の駅で宿を取った。
土曜日で一泊6000円ちょい。安い。
全国旅行支援のあと付け適用が可能な宿だったが、3回目のワクチンは接種していないので対象外。
十分安いから何の問題もない。
前夜~当日朝の過ごし方
17:00
最寄り駅に到着。
インド料理屋(ノーゲス)でカレーを食べる。
18:00
ホテルにチェックイン。
note用に写真を撮るついでに忘れ物チェック。
19:00
刺激入れのため、2.5kmほどをキロ4分ほどで走った。
街灯が少なかったこともあり、短めに切り上げて散歩に切り替えた。
コンビニで2Lの水を買ってチェックアウトまでに飲みきった。
20:00
風呂。
21:00
Twitterで同じ大会に出る人たちのツイートを見て士気を高める。
道中の自販機で買ったヤクルト1000を飲んで就寝。
夜中
水飲みすぎて2回トイレで起きた。かなしみ。
5:30
起床。身支度。
6:30
ホテルの朝食バイキング。
ごはん。鮭。納豆。味噌汁。漬物。
7:30
トイレ。移動開始。
8:30
会場到着。受付。
駅からの道も混んでいた。

9:20
最後のトイレ。行列。
9:40
アップがてら走ってスタート地点へ移動。
スタート。
装備まとめ

シューズ
NIKE | Zoom Fly 4(駅伝エディション)
ヴェイパーフライネクスト%2も買ってあったが、今回はサブ3より遅いペースということもありズームフライ4を選択した。
ヴェイパーだと設定ペース的にブレーキをかける走り方になりそうなことを危惧した。
ズームフライは200kmほど走ってきていて、感覚が一番フィットするシューズということもあり安心して走れた。
ウェア
どれも気に入っている。
ソックスは4回ほどしか履いていないが今回のレースで両足の親指が破れてしまった。
エアーじゃないモデルのソックスは一年以上履けているので、こちらの耐久性は気になるところ。
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キャップ: On | Lightweight Cap
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トップス: 参加しているランニングクラブのスリーブレスTシャツ
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ボトムス: NIKE | レーシングタイツ Dri-FIT ADV Aeroswift
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ソックス: Tabio | レーシングラン・エアー 五本指ショートソックス
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サングラス: AirFly | AF-501 C-1 Black Matt / Gray Lens
補給食
すべてゼビオのフルマラソン完走補給セットのようなまとめ買い商品で揃えたもの。
補給に関してはあまり関心がなかったのでこだわらなかったが、今回のレースでその重要性が分かったので次回はしっかり選びたい。
カフェインなしで後半粘れたのは良いこと。
アミノ酸ばかりでミネラルもそこまで摂れていない気がする。偏り。
反省ポイント。伸びしろでもある。
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レース前(1時間前に摂取)
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アミノバイタル | トリプルショット
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メダリスト | アミノダイレクト5500
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レース中
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10km: アミノバイタル | アミノショット パーフェクトエネルギー
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17km: メダリスト | エナジージェル グレープフルーツとはちみつ
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25km: ヴィクトリーラボ | JETGEL
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35km: メダリスト | エナジージェル ブドウとはちみつ
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ついでに給水についても触れておく。
タイミングは忘れたがポカリスエットを4回飲んで、水を1回頭から被った。
ラン仲間に教えてもらった中指を突っ込んでカップを取り、そのままカップを縦に折って飲みやすくする作戦を実行した。
4:15前後のペースで巡航していたこともあり、それなりに溢れたが給水によるペースダウンは最小限に防ぐことができた。
その他
乳首やインナーが当たる部分にワセリンを擦り込んだ。
効果絶大。
テーピングは慣れていないのでやめておいた。
痛みはないし、そのままの方がかっこいいし。
声援が届きやすい状態を保ちつつ集中力を継続させたかったので骨伝導イヤホンを着けて走った。
使用したイヤホンについてはこちらの記事で紹介しているので是非ご覧いただきたい。

レースの振り返り
場面ごとに、時系列に沿って振り返る。
Start〜4km
当初はサブ3.5(3時間30分切り)目標だったこともあり、Cブロックからのスタートだった。
大規模大会は初めてだったので、待機位置からスタートまでの距離に驚いた。
号砲が鳴ってから、ん?行っていいの?まだかな。お、行って良さそう。ゴー!という感じでぬるっとスタート。
2分半程度遅れてのスタートとなった。

スタートしてから4kmまではひたすら焦っていた。
正直レース計画はこの時点で崩れた。
とにかく前に進むことができない。
通勤ラッシュ時の品川駅と錯覚した。
一瞬にして品川駅と化した木更津の道路を、遅刻寸前のサラリーマンよろしく駆けていく。
抜いても抜いても前が開けない。半ば反復横飛びで消耗しながら進む。
正直1kmも進めば開けるだろうと思ったがそんなに甘くはなかった。
急ぎたいが無理に抜いて怪我をするのもさせるの絶対に避けたい。
1km目のラップは5’31。設定ペースより1分以上遅い。プチ絶望。
そのあとは徐々に上げて推移。
近くでいただく声援も遠く聞こえた。
必死だった。余裕のなさを自覚した後、こんな状況で余裕で居られるかという開き直りに繋げられたのは大きい。
今までの練習の成果をここでの足止めやそれに付随する自分の器の狭さで台無しにするのはあまりにももったいない。
開き直れて本当によかった。
そんなこんなでムズムズしながら半ばキレながら走る29歳になりたての情緒不安定な男性をやった。
1km-4kmラップ
5’32-17-11-4’35

5km〜10km
ようやく道が開けた。
気持ちいい。
そう、走るって気持ちいいよね。
原点回帰。
余裕がない分、喜怒哀楽が激しい。
そしてまたすぐに襲う焦燥感。
滑り出しの遅れを取り返さなくては。
身体のコンディションは悪くなさそう。
若干ふくらはぎが重い気もするが、そのうちほぐれそう。
その上、天気のコンディションも素晴らしい。
秋晴れ。暑くはない。風は…?あんまり意識したことないから分からない。
前半は4’25±5秒をキープする予定でいたが、5秒の繰り上げを決意。
4’20±5秒で押していくことにした。
このくらいならきっとタレない。
10月に4’22の30km走をやったことによる経験に基づく自信が背中を押してくれた。
結果的には設定変更後のペースを保てた。
この時点で調子の良さを感じていた。
5km-10kmラップ
4’19-22-17-24-19-21

11km-20km
アクアラインに到達。
高速道路を足で走る。自動車用の道を。
本来であれば道路交通法上の処罰が適用されることを、人の応援を受けながらおこなう。
謎の背徳感とシュールさに悦びを覚えながら走る。結構気持ち悪いな。
あまりの非日常に面食らい、この辺りは少しアホになっていた。
1km起きにある、軽トラの荷台に乗った仮設トイレを見ても笑えてくる。
ふわふわした頭でひたすら高速を走り続ける。
対向車線から来たトップ集団とすれ違う。
その中にいつもYouTubeで見ているリバランこわだ君を見かける。
有名人を見て少しテンションが上がったと同時に正気に帰る。
写真で見てビビっていた激坂・アクアブリッジはいざ上ってみるとそこまで足に来ない。ペースにも大きな影響なく乗り切ることができた。
上りは肘をいつもより引いて上半身で押す。
下りは脇を締めて気持ち腕を高めにして上半身で抜く。
下半身の動きを意識せずこの坂を攻略できた。
坂の傾斜が厳しいところは無理をせず10秒プラスほどのラップで推移。
ふくらはぎを使わずに難所をこのペースで刻めたのはありがたかった。
アクアライン、空がとにかく綺麗だった。
一般の方が入れない都合上、応援は少ないと聞いていたがボランティアさんが50mおきくらいにいらっしゃり、海ほたるのスタッフさん(?)や海上の船から手を振ってもらったり。
たくさんの元気をもらえた。
11-20kmラップ
4’22-28-19-18-29-14-16-18-15-16

21km〜30km
犯罪者気分で通行したアクアラインを下りる。
少し後ろ髪を引かれる思いがした。
このあたりでおそらくA,Bブロックに居たであろう、同じくらいのペースの人たちと合流して小さな集団で走り始める。
先頭の人が流れを作ってくれ、サブ3ペースである4’15付近を自然と刻めていた。
徐々に田舎道になっていったが、地元の方の応援は減る様子がない。
特に小・中学生の声援が印象的だった。
胡散臭いことを言うようだが、大きな気を感じた。
マラソン大会はそれぞれの目標を持って各地からわざわざ走るために人が集まる。
それを迎えて応援する人がいる。
とんでもないパワースポットだと思う。
21-30kmラップ
4’14-13-14-14-16-10-13-14-11-18

31km〜35km
この辺りで3時間10分切りは確信していたので、ベストを尽くせるよう、なるべくペースを保ってゴールまで行こうと強く思った。
しかし、30kmを過ぎると今までとは景色が変わってくる。
疲弊して坂道を歩いている人、足を攣ってその場から動けない人。
本来自分より速そうな人が辛そうにしている。
圧倒的ヴェイパーフライ率。
やはりスーパーシューズの代償は大きいのだろう。
実力以上の力で走ってしまい足が攣ってしまったり、体調を崩してしまったり。
それらが出てくる30kmの壁。
30km以降は何が起こるかわからない。
自分の身に起きていないのが不思議なくらいだ。
改めて脇を締めて走る。
前述した先頭の人が補給用のチョコの袋(不二家のチョコみたいなプラの包み紙)やら給水の紙コップやらを全部ポイ捨てしていて集中力を欠いたので視界に入らないように集団を抜けて前を走ることにした。
さようならポイ捨ておじさん。
私はあなたに負けるわけにはいかない。
今までペースを刻んでくれてありがとう。
心の中で礼を言い、ポイ捨ておじさん率いる集団を抜けた。
そしてその集団を抜けた途端、足の重さに襲われた。
これはポイ捨ておじさんの恨みなのか。
34km地点付近の坂で見事に足が重くなった。
ペースは辛うじてキープ出来るがメンタルに来る重さ。
地球の重力はこの一瞬で変わってしまったのだろうか。
そんなときに骨伝導イヤホンから流れてきたのは宇多田ヒカルの「道」だった。
前日の移動中に作ったプレイリストのセンスの良さを自画自賛しながら少し泣きそうになった。
見事に音楽に救われて持ち直す。
不思議と足の重さも軽減された。
31-35kmラップ
4’14-11-15-15-16

36km-Goal
最後の7.125km。
踏ん張るために最後のジェルをゆっくり飲んだ。
沿道の声援はほとんど途切れない。
ゴールに向けてエスカレートしているようにも感じる。
この辺りからは大きな声援に対しては無意識に手を振っていた。
最初は少し恥ずかしくてレスポンスを返せなかったが、どこかのタイミングから躊躇いなく気持ちよく手を振り返せていた。
体力が限界に近づき、無意識にパワーを欲していたのかもしれない。
不思議なことに、身体は疲れているのにペースは上がっていた。
二段階の激坂があったが、そこも4’20以内で推移できた。
坂を除けば4’05を切るペース。
この局面でここまで足が残っていたのは自分でも驚いた。
最後の方でグロスタイム3:10:00の公式ぺーサーさんに合流。
励ましの言葉をいただきつつ、坂でペースを落として温存するようアドバイスしてもらう。
まだ行けそうだから坂を登りきったら抜いていってください、そこまでは使ってください。
そんな言葉をかけてもらった。
お言葉に甘えてピッタリ着かせてもらい、少し羽(正確には足)を休めさせてもらう。
最後の坂は笑ってしまうくらいにしつこくて「ほんとに?」とつい口をついてしまった。
その坂を登りきった。
あと少し。多分。
小さい子があと1kmといううちわを持っていた。
その先の大きいおじさんがあと800mと教えてくれる。
あと3分くらい。
本気出す!
ゴールの写真あるからそろそろサングラス外さなきゃ!

カメラを気にすることができるくらいにはちゃんと頭が回ってる。
スタート地点付近より明らかに元気だった。
ゴール手前は人だかりができていた。
応援に駆けつけてくれた知人のカメラにも無事写れた。

最後はバンザイしてガッツポーズしてゴール。
素晴らしく気持ちのいい大規模大会デビューができた。
36km-42.195kmラップ
4’04-3’59-4’18-4’04-4’05-4’17-4’07-(1km換算=)3’53

Goal後
手元の時計で3:04:03だったので、目標の3時間10分切りに成功したらしい。
そしていつも一緒に練習しているラン仲間たちの現時点でのシーズンベストより良いタイムでゴールしたことを確認できた。
切磋琢磨とはまさにこのこと。来月にはきっと抜かれて悔しがっていることだろう。みんな速いから。
カメラに向かって再度両手を上げてポーズ。
翌日のダメージ
走ったあとしっかり食べたので身体の疲労感はそこまで感じずに済み、翌日も集中して働くことができた。
筋肉痛は前ももと内もも。
アキレス腱付近が固くなっている。
股関節がバキバキ。
いつも行っているスパで疲れを取ってきたら前もも以外はだいたいほぐれてきた。
やっぱり温泉は素晴らしい。
ダメージはそのくらい。
走れって言われたら走れるけど、2週間後にハーフマラソンを控えているので週末まではランオフするつもり。
レースの感想
正直、出来過ぎと言っていいくらいのレース展開だった。
最初出遅れて焦って捲くった行動については、裏目にでてしまった可能性も十二分にあるしよく聞く話でもある。
しかし今回はあそこで抜け出して序盤に仕切り直せたからこそこの結果に結びついた。
坂と風についても、前評判からビビりまくっていたがそこまでではなかったのでいい結果となった。
記録を残すタイプの大会ではないと聞いていた分、目標以上の記録を出せて嬉しい。

9ヶ月前に走った前回の初フルマラソンの記録は3時間47分03秒。
43分更新出来た。
単純計算で1kmあたり1分早くなった。
9ヶ月前には想像の出来ない景色が広がっている。
いろいろな角度から支えてくれている周りの人と、ここまでコツコツ努力してきた自分自身に対して感謝する瞬間だった。
しかしまだここは通過点に過ぎない。
ここまで来たら市民ランナーの栄光であるサブ3(3時間切り)に挑戦せざるを得ない。
あと4分。
あと240秒。
やれる。
何故なら私は9ヶ月で2580秒速くなったから。
2023年3月19日(日)。
大迫傑さんがゲストランナーとして出場するとくしまマラソンで。

舞台は整った!
いつも勇気を与えてくれている大迫傑さんがいる場で自分の夢を一つ叶えようと思う。
マラソンに出会えてよかった。
これからも自分自身と対峙しながらこの孤独でいてとても暖かい不思議なスポーツに取り組んでいこうと思う。
データ

